引越し当日は弟と私と母の3人。とても引越しとは思えない重い雰囲気の中で作業が始まりました。母は当然超不機嫌で、いまにも襲いかかってきそうな形相です。
私はもくもくと作業をしていましたが、母は作業をしようとせず、不服の言葉ばかりが飛んできます。心を無にして母の言葉は聞こえないことにしました。鬼になるしかなかったのです。
弟が外している間に、母の言動はエスカレートし、無視されて続けている母は怒りが頂点に達して、私にイノシシのように突進してきました。体も少しは痛かったと思いますが、心はもっと痛かった。母は私にはとても正直でした。昔から私はよく怒られましたし、一番手がかかる子どもでしたから。女同士というのもあるのかも知れません。
母の大事な家を取り上げる決断…いまでもすごく苦しい記憶です。しかし、この経験を通して学んだこともあります。家族との間でどう折り合いをつけるかはとても難しいけれど、時には心を守るために毅然とした態度が必要であること。自分の決断と母の気持ちを同時に思いやることの大切さを、あらためて感じました。正解はありません。
この出来事が、私が自分の家を購入することにつながっていきます。
つづく


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